コストパフォーマンス
性能対価格比のこと。ローコストでより良い品質を得る為には、それなりのものの見方・価値観が必要です。人によって価値観はそれぞれ違いますが、市場に出ている多くのものは必ずしも優れているわけではなく万人に好まれるものが多いようです。じっくり観察してみると、それを必要とする当人にとってはどうでもよくて、実は無駄な部分が多いものであることに気づきます。例えばショッピングがそうですが、毎日がバーゲンセールでモノが溢れ返っているのですが本当に欲しいものが得られない、つまり同じようなものばかりが並んでいるだけである事を発見します。多品種のように見えて、じつは少品種大量生産ということなのです。 このように、日本の生産システムというのは(大企業による)生産者の論理によるもので、消費者を無視したものなのです。言い換えると必要のないものまで買わされてしまってると言い換えてもいいかもしれません。この事は、省資源、地球環境との共生が問題となっている今日、まったくナンセンスとしかいえない生産システムではないでしょうか。そこで手始めに自分や家族などから、身の回りで本当に必要なもの・どちらでもよいもの・全く必要のないものに分類してみることから始めてみませんか。きっと何かが見えてくるはずです。 住宅は自動車や機械類に比べますと耐用年数は(部位によりますが)ずっと長いものです。ある欧米の研究者のなかには、その部位別に耐用年数を設定し、期間の長い順に敷地、構造軸組部、外壁・屋根仕上部、間取り、設備、家具類に分けて考えるべきだという人もいます。彼らによれば基幹となる構造軸組部の耐用年数を100年としているようです。この考え方に基づきますと、構造体(スケルトン)における強度的な耐久性は勿論のこと、自由度の高い、使い勝手の良い構造とし、何世代にも亘って使用できることが必要であるということでしょうか。この事はコストパフォーマンスだけでなく空間の有効利用度という観点からも重要なことである様に思えます。一般的な日本の住宅の平均寿命がたった20年余りという現実を思いますと、一見システマティックに出来ているかにみえる現代住宅が、実は全く行き当たりばったりのものであったということに思い知らされます。 本当に必要なものを必要な人が手にしてこそ、物は生き、価値を持つものです。少なくとも長年住み続ける住宅は、出来ればそのような形で手に入れたいものです。しかし、資金には限度がありますし、建設時に限度いっぱい使ってしまうような事は避けるべきです。余力を残した資金計画でないとのちのち良い結果をもたらしません。住宅を時間を考慮した装置であると考え、今我慢するものそうでないものなどを将来のビジョンを描きながら取り決めしていかなければなりません。つまり、平均的に配分するのではなく必要な部位に優先してお金を掛けるというアンバランスさもまた限られた予算と時間の中には必要な場合もあるということなのです。 このようにして出来上がった住宅も、完成してからが本当の始まりともいえます。というのは、その空間を背景に様々な事件がドラマチックに展開するものだからです。新築にしろ、増改築にしろ、リフォームにしろ今一度、一歩下がって考えてみると、今まで隠れていたヒントが浮かび上がってくるかもしれません。出来てしまってからではなく、建てる前にじっくりと時間をかけて考えることが、結果的に住まいのコストパフォーマンスを高めることになるのではないでしょうか。 |